空気清浄機の仕組み｜静電気式・電気集塵方式やシャープのプラズマクラスターも解説！

空気清浄機の構造についてよく知らない方も多いのではないでしょうか。空気清浄機には、前面パネルの奥に、プレフィルターと呼ばれる大きな埃やごみを集めるためのフィルターと、集塵フィルターという細かな埃や塵を集めるフィルターがあります。

さらに、その奥にはニオイを吸着して脱臭する脱臭フィルターと、空気循環のためのファンが備わっています。このように、空気清浄機は、ファンで部屋の空気を取り込んで、フィルターに通過させて汚れを取り除き放出する構造になっています。

今回は、空気清浄機の仕組みや選び方、空気清浄機の力を最大限に活かす方法などをご紹介します。また、静電気をつかった電気集塵方式の商品や、電気集塵方式のメリット・デメリットも解説しています。空気清浄機の魅力や選び方の要点などをしっかりとおさえて、ぜひ希望に合った空気清浄機を選ぶ際の参考にしてください。

空気清浄機とは、空気中のウィルス菌・臭い菌や、浮遊する埃・花粉・ハウスダストなどを除去できる機械をいいます。エアクリーナーとも呼ばれ、その名の通り空気をきれいにします。花粉症・カビ・臭い対策のほか、インフルエンザ予防などにも役立つ優れものです。

日本では、高度経済成長期に初の空気清浄機がパナソニックから発売され、花粉症の患者の増加とともに普及率が高まっています。普及率は2003年には23%でしたが、2018年には43.8%にまで拡大しました。

ファン方式の空気清浄機は、吸い込んだ空気をフィルターを通し、空気中に浮遊する粒子を集めて除去する仕組みです。前面パネルの奥に大きな塵や埃を集めるプレフィルター、細かい埃や塵を集める集塵フィルターがあります。

さらにその奥に、活性炭吸着による脱臭技術を応用した臭いを吸着する脱臭フィルター、そして空気を循環させるファンがあります。ファンを回転させ、部屋の中の空気を前面パネルから強制的に取り込み、その空気を集塵フィルター・脱臭フィルターの順に通過させ、清浄化された空気を部屋の中に戻します。

ファンがあるため誤解しがちですが、空気清浄機に換気の機能は無く、一酸化炭素や二酸化炭素を薄める機能はありません。ガス機器を使用される際は窓を開けて換気するのを忘れないように注意が必要です。

後述の電気集塵タイプの空気清浄機と異なり、フィルターで除去するため、本体が比較的コンパクである商品が多いです。そのため、部屋の隅に置いておいても圧迫感を感じずに、快適に過ごせます。

ファン方式のデメリットは、長く使えば使うほどフィルターが目詰まりを起こし、集塵性能が低下していく点です。フィルターを交換するといった対処が必要になります。

電気集塵式の空気清浄機は、高圧放電で空気中の塵や埃をプラスに帯電させ、マイナスに帯電したフィルターで集塵する仕組みです。乾燥した電車内で、静電気のせいで手に持っていたナイロン製の袋に、床にたまっていた埃や髪の毛がくっついてきた経験はないでしょうか。

この電気集塵式は静電気の性質を応用した仕組みです。帯電させ集めた埃や塵をさらにフィルターを通してろ過し、部屋の中の空気をきれいにしてくれます。

電気集塵式のメリットは、ファン式のフィルターに比べて目詰まりしにくく、洗って繰り返し使用できるうえ、性能が低下しにくい点です。機種によっては、汚れを分解する機能を備えたものもあり、通常よりもさらに長く使用できる空気清浄機もあります。

電気集塵式のデメリットは、高圧放電を発生させ集塵させる電気集塵部が内蔵されているため、ファン式に比べて本体が大きい点です。部屋の大きさによっては圧迫感を感じてしまうかもしれません。

シャープのプラズマクラスターは、プラズマ放電して空気中の水分を分解し、水素イオンと酸素イオンを発生させます。通常のイオンは短寿命ですが、水コーティングするため長寿命化に成功しています。

その放出されたイオンが、空気中の浮遊粒子と接触したのちOHラジカルと呼ばれる物資となり、浮遊粒子は分解され、OHラジカルイオンは水になる仕組みです。

パナソニックのナノイーは、装置内に結露を発生させて高電圧をかけ、ナノサイズの微粒子イオンを発生させます。その微粒子イオンを水でコーティングし長寿命化させ、空気中に放出します。

微粒子イオンには、OHラジカルイオンを含み、OHラジカルイオンが空気中の有害物質と接触することで、有害物質を分解し、OHラジカルイオンは水になる仕組みです。

ダイキン光速ストリーマは、ストリーマ放電により、他社のようなイオンではなく電子を発生させ、OHラジカルイオン、酸素ラジカルイオン、レイキ酸素イオン、レイキ窒素イオンなどの強力な分解素を空気中に放出し、空気中の汚れをきれいにする仕組みです。

適用床面積とは、たばこ5本分に含まれている有毒成分やガスを、30分で浄化できる部屋の広さをいいます。つまり、適用床面積の数値が大きいほど空気を浄化する能力が高いのです。適用床面積と稼働時間の目安は下記のとおりです。

• 6~8畳の場合は、適用床面積が16畳までで約13~17分稼働
• 8~10畳の場合は、適用床面積が21畳までで約13~16分稼働
• 10~12畳の場合は、適用床面積が24畳までで約14~17分稼働

空気清浄機を選ぶとき、スペックには「~8.5畳（14㎡）」「~32畳（53㎡）」などと記載されていますが、実際の部屋の大きさと同じ適用床面積を選ぶのではなく、

空気清浄機を利用する部屋の広さ（畳数）×2=適用床面積

に当てはめると、半分の時間で空気が浄化され快適に過ごせます。

数値が一番大きい空気清浄機にすれば5分で部屋が浄化されるのでは…と考える方もいるかもしれません。しかし、適用床面積が大きくなればなるほど本体が大きくなったり、価格が高くなったりする場合もあります。そのため、部屋の広さの2倍がちょうどいいといえます。

空気清浄機内のフィルターの中で、プレフィルターと脱臭フィルターは洗えるものが多いです。ゴミを掃除機で吸い取ったり洗ったりできるフィルターを搭載した機種を選べば、フィルターを買い替える必要がなくコストパフォーマンスがいいですよ。

ただし、その都度洗う手間はあります。中には、フィルターの掃除を億劫だと感じる方もいらっしゃいますよね。そういう方には、使い捨てのフィルターを搭載した空気清浄機がおすすめです。常にフィルターをきれいな状態で保てるので、最高のパフォーマンスを得られますよ。

フィルターを定期的に洗いたくない、買い替えもしたくないと欲張りな方には、最上位モデルにプレフィルターの自動掃除機能が搭載された空気清浄機がおすすめです。プレフィルターをきれいに保てるので、集塵フィルターの寿命も延び、手間がかからず一石二鳥です。

また、フィルターが付いていない空気清浄機もあるので、こちらも検討してみましょう。下の記事で詳しくご紹介しています。

空気清浄機の性能を左右するといっても過言ではない集塵フィルターは、洗えないものが多いです。水洗い不可能な集塵フィルターを洗うと、本体の故障やフィルターの性能が落ちる可能性があうので注意しましょう。

集塵フィルターの寿命は、「~2年」などと表示されています。この「~2年」などの数値は、たばこ5本分の汚れを一日分の汚れと換算し、集塵フィルターの性能が初期の半分になる時期を示しています。「~2年」の場合は、「2年で性能が半分に落ちる」の意味です。数値が長い空気清浄機を選ぶとコストパフォーマンスがいいといえます。

特徴のあるフィルターで差別化を図っている空気清浄機があります。そんな空気清浄機のフィルターをご紹介します。

フィルター内を通過する空気に紫外線を照射して、ウィルスや菌を抑制する紫外線フィルターを備えた空気清浄機があります。受験生だからとにかく風邪をひきたくない、などの家庭におすすめです。

消臭フィルターには活性炭を使用しているものが多いですが、さらにプラズマイオンの性能を集塵だけでなく消臭にもいかしたイオン消臭のフィルターがあります。イオンの力で、臭いのもととなっている粒子を吸着、分解してくれます。臭いに敏感な方におすすめです。

空気清浄機を購入する際、せっかくだから加湿機能もついているものがいいと感じる方も多いです。しかし、加湿機能がついた空気清浄機は、ついていないものにくらべ本体が大きくなり、またフィルターやトレイが複雑な構造になる場合が多いため、掃除がしにくくなるデメリットがあります。

掃除が面倒になり、結局加湿機能を使わない…などともったいない自体にならないよう、搭載機能は十分吟味して購入してください。加湿も清浄機もどちらも欲しい方は、シンプルに別々に購入するのもおすすめですよ。

メーカーによって製造している商品に特徴があります。たとえば、シャープの商品は　集じん・脱臭効果が高いだけでなく、生活に役立つプラスアルファの機能を搭載しているものが多いです。最新AI技術やフィルターの自動掃除機能など、機能性を求める方にはおすすめのメーカーです。

ほかにも、業務用でもよく使用されるのがダスキンの商品です。圧倒的に脱臭性能に優れているため、家でペットを買っている方や匂いに敏感な方におすすめできます。ぜひ、それぞれのメーカーの特徴を知り、自分にあった商品を見つけてください。

空気清浄機は、正しく使用しないとただの邪魔な置物になってしまいます。能力を最大限活用する設置方法をご紹介します。

空気清浄機の性能を最大限に生かすために、空気の循環を考えて置く場所を決めてください。機種によって排気口が異なるので、吸い込み口や排気口にものを配置しないように注意し、空気の流れを作るような配置をしましょう。

また、ほこりや花粉の対策をしたいのならば、花粉がたまりやすい床に直置きし、さらに、人の動きで舞い上がりやすい性質を考え、人がよく集まる場所や動線上に置くと効果的です。

たばこの対策として空気清浄機を使用したいならば、あたたかいたばこの煙が上へ上へと向かう性質を利用して、倒れる心配がない高い位置に置くと効果を発揮します。

フィルターは空気清浄機の要です。フィルターの定期的なチェックやメンテナンスは決して怠らないようにしましょう。使用状況によって、フィルターの寿命は大きく異なるため、早めの交換を心がけると安心です。

特に、喫煙化がいらっしゃる場合はフィルターの寿命が短くなり、早め早めの交換が必要です。余談ですが、たばこが排出する有害成分の多くは、一酸化炭素・ニコチン・アセトアルデヒドなどのガス成分がほとんどなので、フィルターで除去できる粒子は少ないです。

そのため、窓を開けて換気を心がけたり換気扇を併用すると、人体への影響を減らすうえ、空気清浄機のフィルターの寿命を延ばすのに役立ちます。フィルターのお手入れ方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

空気清浄機の仕組みをご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。正しい使い方で上手に空気清浄機を活用して、毎日快適に過ごしたいものです。